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熱性けいれん 2001.2
2月に入り、小児科の外来も熱の高いお子さんが大分増えてきました。
毎年この時期にはインフルエンザが流行のピークを迎えていますが今年は少数派で、高熱と胃腸症状のあるウイルス感染が目立ちます。
今回は、熱が出たときにこどもが起こすひきつけ、<熱性けいれん>についてお話します。
夜にこどもが急に高い熱を出して、けいれんを起こし、慌てた経験があるお父さんお母さんは少なくないと思います。

熱が出たときに起こるけいれんの多くはあまり心配する必要がない熱性けいれんです。
こどもの脳は未熟で、熱が刺激となってけいれんを起こしてしまうのです。
しかし、中には、髄膜炎や脳炎など、こわい病気によって起こることもあり、小児科医もその鑑別に非常に神経を使います。

熱性けいれんを起こすお子さんは意外に多いのです。
1才から5才のお子さんの20人に1人は経験するといわれています。
多くは熱の上がりはじめに、数分間のけいれんを起こします。
けいれんは 体が硬直したり手足ががくがくする全身型のものから、目が一点を見つめて反応しない、というような分かりにくいものまでいろいろです。意識は消失します。
呼吸運動がうまくいかず、顔色や唇の色が紫色になることがあります。嘔吐や失禁をすることもあります。
けいれんは数分でおさまります。おさまったときには、わっと泣く子もいれば、そのまま眠り込んでしまう子もいます。意識は少しすれば回復し、熱は高いけれど、それほど様子はおかしくない、という状態に戻ります。
けいれん時の注意
けいれん自体で命があやうくなることは、まずありません。しかし、けいれんしたときに嘔吐したものが気管に入ってしまうのは心配です。窒息したり、誤嚥性の肺炎を起こすことがあります。けいれんをしたときには、横向きに寝かせたり立て抱きにしたりして吐いたものを詰まらせないように注意しましょう。
舌を噛むといけないから、と、口の中にものを突っ込むことが昔は勧められていたようですが、けいれんで舌を噛んで大事になることはあまりありません。むしろ、突っ込んだものが呼吸を妨げてしまうのでやめたほうがよいと思います。
ゆすったりして刺激を与えるのもあまりお勧めしません。けいれんの刺激になってしまうおそれがあるからです。

気道を確保し(呼吸がしやすいような体勢をとらせること)おちついてけいれんの様子をみてください。けいれんの動きに左右差がないか、何分間続いたか、などの情報は、その後の治療の参考になりますので注意していてください。
5分以内にけいれんがおさまって意識が回復し、いつも通りの様子に戻ったときは、それほど心配はありません。夜中であれば、朝まで様子をみてもよいのではないでしょうか。

熱性けいれんでも、悪条件が重なると、止まりにくくなってしまうことがあります。また、他に原因があって(髄膜炎や脳炎、頭蓋内出血など)けいれんを起こしていることもあります。
けいれんが5分以上続いておさまる様子がないときや、けいれんがおさまっても意識が回復しないときなどは大至急救急を受診してください。病院での処置が必要になります。

熱性けいれんの治療
こどもが熱性けいれんを起こすのを2度と見たくない、と思われる親御さんがほとんどでしょう。熱性けいれんの予防には、ジアゼパン(商品名ダイアップ)というけいれん止めの座薬が使われます。熱の上がりはじめの37.5〜38℃位の時に座薬を入れ、8時間後にもう一回入れる、という方法が一般的です。上がりはじめの1回だけ使うという考え方の先生もいます。
熱性けいれんを起こしたすべてのお子さんが、この座薬で予防したほうがよいということではありません。熱性けいれんを繰り返し起こすお子さんは3人に1人、というデーターがあります。つまり、3人に2人は熱性けいれんは一生に1回きり、ということです。ですから、私は、熱性けいれんを2回以上繰り返したお子さんにけいれん予防を勧めています。(ただし、けいれんを起こしやすい体質のお子さんとか、1回目のけいれんがとまりにくかったりしたときにははじめから使います)
けいれんの時間が長かったり、左右の動きに差があったり、頻繁に起こすような場合は、脳波の検査を勧められる場合があります。
けいれんしているお子さんを見ると、本音を言えば、医者でもドキドキします。
いろいろと処置をしながら、このけいれんが止まらなかったら、次はこうして、ああして、と先へ先へ考えていきます。ですから、1〜2分後に自然にけいれんが止まってくれるとほっとします。
親御さんに慌てずに、というのも無理なことでしょう。しかし、慌てても何もおこりません。しっかり気道確保をして、けいれんがおさまるのを待ちましょう。


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