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麻 疹 2001.6
紫陽花の紫が、雨に映える季節、この付近の公園では蛍が飛び交っているようです。
5月は雑用におわれてついにホームページ更新ができませんでした。待っていて下さった方々、申し訳ありませんでした。
今回は、こどもの感染症の中でも、重症な、麻疹についてお話します。
麻疹はむかし、命定めの病気といわれ、おそれられて来ました。昔はこわくても、今は治療方法が確立してこわくない病気はいくらでもありますが、麻疹は、いまだに、そのウイルス自体を殺す薬がみつかっておらず、治療方法が確立していません。
症状
麻疹は、まず、咳と鼻水、発熱から始まります。鼻水ぐずぐず、目脂も多くみられ、目もうるんで、ばっちいお顔になってしまいます。はじめのうちは発疹はみられず、普通のかぜとの区別が難しいです。2〜3日間、このような状態が続いたあと、顔や身体に発疹が出てきます。発疹がでる少し前に、ほっぺの内側の粘膜にコプリック斑と呼ばれる白い発疹がでますが、24時間ほどで消失します。発疹がでて3〜4日、熱の出始めから7日程度で治癒します。発疹は、色素沈着を残すのが特徴で、熱が下がっても、何となく黒ずんだあとがしばらく残ります。

合併症
麻疹には、細菌感染が合併することが多いです。肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、などです。これは、麻疹ウイルスによって、免疫力が低下させられているためです。
麻疹ウイルス自体が肺炎を起こすこともあります。間質性肺炎といって、レントゲンをとると肺が真っ白になっていたりします。もともと気管や肺が弱いお子さんなどでは、呼吸困難をおこし、死に至ることもあります。
最もこわい合併症は、脳炎です。麻疹の脳炎は、麻疹患者1000人に1人の割合でおこるといわれています。麻疹の経過中、多くは発疹期に意識障害、けいれんなどがおこります。死亡率は非常に高く、後遺症を残すことも多いです。
その他に、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という、じわじわと忍び寄るこわい病気もあります。麻疹のウイルスが脳の中に残っていて、麻疹の後数年して(平均7年)行動異常や知能低下などの症状が出てきます。症状は進行性で、確実に死に至ります。

治療
はじめに書いたように、麻疹のウイルスを殺す薬はいまもって開発されていません。
2次感染を治療するために抗生物質、脱水を治療するために点滴等が行われます。肺炎、脳炎になってしまった場合は、その状態に応じて、生命を維持するための治療が行われます。
もし、麻疹患者と接触してしまった場合、麻疹のワクチンを72時間以内にうてば、発症予防ができるかもしれません。また、γグロブリンという、成人の血液から抽出した抗体を、接触後72時間以内に注射すると、発症予防、軽症化が期待できます。発症してからも、軽症化させるため、γグロブリンを注射することがあります。しかし、γグロブリンは血液製剤なので、他の病原体の感染がありうるという欠点があります。

予防
麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、予防接種以外に有効な予防方法はありません。
予防接種は、1歳から、無料で受けられます。お誕生日をすぎたら、一日も早くワクチンを受けてください。保育園などの集団生活に乳児期から入る場合には8ヶ月くらいからワクチンを任意で行うこともできます。(1才未満、7歳半以降は費用がかかります)
ワクチンの副作用は、もちろん全くないわけではありません。熱や発疹がでることがありますし、100万人に1人の割合で脳炎がおこることがあるようです。ですが、麻疹にかかる危険に比べれば、可能性ははるかに小さいです。
予防接種で麻疹の免疫をつけると、大人になってかかることがあるから、どうせならワクチンをやらないでかかっておいたほうがよいのでは、という相談をよく受けます。
周囲で麻疹が流行していないと、ブースターと呼ばれる免疫系への刺激がなくなり、時間が経つと免疫が消えてしまうことがあるのです。現在、成人の麻疹が増加しているのは確かです。しかし、ワクチンをやっていた方が、かかっても軽くてすみます。
ワクチン免疫を持続させるにはどうしたら良いか。対策としては、麻疹の予防接種を2回以上受けるようにすれば解決するのではないかと考えます。(現在、1回は無料でできますが、2回目は自費接種となります)実際、アメリカでは、現在麻疹のワクチンは2回が義務になっており、2回済ませていないと学校には入れないことになっています。

ちょっと大きな話になりますが、麻疹という病気を、予防接種によって全世界的に封じ込めてしまうことが大切なのです。

新しい予防接種情報(平成19年10月現在)については、
記事「麻疹の予防接種」をご覧下さい。


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