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病児保育室 2002.3
こんにちは。おゆみ野にもすっかり春が来ましたね。遊歩道沿いの雪柳やこぶし、桜など、歩いているだけで心躍る季節です。これからの新学期に向けて、子どもたちはみんな張り切った気持ちで、わくわくと毎日を過ごしていることでしょう。

今日は病気の話からは少し離れて、病児保育室について、お話したいと思います。
今、いつもは保育園に通う子が、熱が出たりして保育園に行かれなくなったらどうしているでしょう。
お父さんかお母さんがお仕事を休んでこどもの看護をする、もちろんこれが1番!でも、なかなかそのように手配できる時ばかりではありません。遠くから祖父母に来てもらったり、ベビーシッターを頼んだり、遠くの祖父母の家に預けに行ったり・・・御両親はいろいろ苦労されています。そんなとき、必ずしもこどもは最善の環境で過ごせるとは限りません。
慣れないおばあちゃんがおろおろしながら一日中みていることもあるでしょう。中には、1人でお家でお留守番、などという場合もあるようです。
子どもが病気になったとき、その子がより良い環境で、快適に、楽しい時間を過ごせる場所。御両親が安心してお子さんを預けられる保育室。そんな保育室を、保育士、看護師、医師等の専門家集団の手で作りたい。そんな思いで、病児保育室を作ることを決意しました。病児保育室は、単にこどもが病気の時、保護者に代わってこどもの世話をする場所ではありません。子どもたちの病気の時のユートピアでありたいと思っています。
私たちの運営している病児保育室は、医院の2階にあります。12畳ほどの部屋に、トイレと洗面所がついています。1区画が区切られ、隔離室になっています。保育士がその季節にあったかわいらしい飾り付けをしてくれ、とても楽しい部屋になっています。定員は4人の小さな保育室です。看護師と保母が常時2人以上勤務しています。
一日の流れを紹介します。
朝、8時ころから、予約したお子さん達がお母さんに連れられて登室します。登室されたお子さんは、病状がどのようか状況か、医師の診察、看護師保母の問診を受けます。非常に病状が重い場合、たとえば脱水がひどいときとか、喘息発作でとても苦しがっているときなど、入院とか点滴とかが必要なお子さんは、保育は不可能と判断して、お断りし、保護者付添の上、必要な治療を受けていただきます。
お預りしたお子さん達について、看護師か保母が、どのような点に配慮して保育看護を行っていったら良いか、アセスメントを行い、それにしたがって記録をとりながら保育をします。子どもたちは、遊んだり、横になったり、と、自分のお家で病気の時にするように、くつろいだ、自由な時間を過ごせるように考えています。元気で遊べるような子には、ちょっとした製作をしたり、紙芝居をやったり、これは保母の腕の見せ所です。
熱が高い子、食欲のない子、嘔吐や下痢のある子など、脱水になりやすい子に関しては、特に水分摂取の量について随時細かくチェックします。また、鼻詰まりがひどかったり、咳や痰が多かったりする子には、鼻水や痰の吸引を行ったり、ネブライザーをおこなったりして、少しでもよい状態になるように看護します。
医院のお昼休みには、医師がもういちどみんなの病状をチェックします。ここで、具合があまり良くないときには、御両親に連絡してお迎えをお願いし、保育から治療に切り替えることもあります。
夕方お迎えの時には、一日の様子(熱の高さ、便や尿の様子、食事の様子、水分摂取の量、どんな様子で遊んでいたか等)の報告を、書面にしてお渡しし、その後の御自宅での看護の参考になるようにしています。
いつもの保育園と違った慣れない場所で、大丈夫かしら・・・?

普段保育園に通っていらっしゃるお子さんの場合、お母様と別れるときには泣いても、こども2人に保育者1人、という手厚い保育環境ですので、すぐ泣きやんでなじんでくれることが多いです。
人見知り、場所見知りが非常にはげしくて、全く泣きやまず、一日飲まず食わずになってしまうようなお子さんも稀にはいらっしゃいます。(この3年間で2000人以上お預りして、5人くらいだったと思います。)こんな場合、安静が保てず、脱水の進行もありえるので、予定より早めにお迎えをお願いすることもあります。
他の病気がうつってしまうのではないかしら・・・?

保育室には隔離室がひとつあり、保育園に登園禁止になるような疾患、たとえば水痘とか、おたふくかぜとかのお子さんは、他のお子さんと接触がないようにお預りします。しかし、同じような症状のお子さんでも、いろいろなウイルスの感染症がありえます。胃腸炎でも、ロタウイルスだったり、アデノウイルスだったり、SRSVだったりするので、それを全部調べて、別々にお預りすることは不可能です。
でも、普段の保育園でも、症状の軽いお子さんは登園してきて一緒に過ごしているわけですよね。病児保育室では、それぞれの病状に合わせて、互いの感染をできるだけ少なくするように、細かい配慮をしています。感染の可能性はゼロではありませんが、通常保育と比べ、リスクがとても高いということはないと思います。
予防接種で防げる病気についてはできるだけ早く予防接種を受けて、お子さんの体に免疫をつけておきましょう。特に麻疹は一日も早く!!麻疹は、発疹が出る前のカタル期には診断がつけられないことがあり、園内感染を起こしてしまうことがあるのです。
病児保育をやりはじめてもうすぐ4年になります。最初の年、毎月のように利用されていた子どもたちはもう大きくなって風邪も滅多にひかなくなり、代わって他の常連メンバーが通ってきます。風邪ばかりひいて、熱を出さない月がない、という状況は、3才過ぎるとうそのようになくなるお子さんが多いです。
お母さん達、頑張って!病児保育をはじめる計画を立てていたとき、周りの人からは、採算がとれない、とか、責任が重く精神的な圧迫が大きいのでは、とか、いろいろな忠告をうけました。しかし、実際やってみると、そのような困難を越える楽しさ、素晴らしさがあることがわかってきました。お子さんを1日預からせていただくと、いつも診察室ではみられないようないろいろな様子が見えてきます。診察室ではお母さんの後ろに隠れて一言もお話ししない子が、病児保育室ではとてもおしゃべりで、踊ったり歌ったりする子だったり、まだ言葉をしゃべらない1才前の乳児どおし、アー、オー、などと指さしあいながら会話をしているところがみられたり・・・。こどもの成長を肌で感じられるのも、小児科医にとっては何よりの喜びです。また、一日数回にわたって病状を観察させていただけるので、病状把握も確実になります。
具合の悪い子を抱いて、泣きたくなるような思いで臨時保育の手だてを考えなければならないお母さん達のお役に少しでも立てればと思います。見学をしていただくこともできます。一度みていただけば、きっと安心してお預けになれると思います。


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