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インフルエンザ
2007.10
夏が終わると、あっという間に寒い風が吹いてきました。
そろそろ咳や鼻水の出ている子が目立ってきています。
毎年冬になるとインフルエンザの流行が問題になります。
★インフルエンザの流行
インフルエンザウイルスはABCの3つの型がありますが、流行するのはABの2種類です。
年によって、流行のパターンは違いますが、一般的には11月末ころから患者が出始め、年末〜年明け頃から急増、1月2月にピークとなり、その後3月頃より減少していくというパターンをとります。
★インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスが感染してから1〜3日後に高熱、体の痛み、だるさ、頭痛等の症状が出てきます。咳、鼻水等の症状は少し遅れて出ます。咳は長く残ることが多いです。
高熱は3〜7日続き、途中0.5〜1日熱が下がってまた発熱する2峰性発熱を示すこともあります。
通常は一週間前後で治癒しますが、中には重症の合併症をおこすことがあります。合併症としては、肺炎、中耳炎、クループ等の呼吸器疾患が多いですが、筋肉炎、心筋炎、神経合併症なども見られることがあります。熱性けいれんの合併も他のカゼにくらべて多く見られます。
1番心配なのは、脳炎、脳症等の神経合併症です。乳幼児に多く、毎年50〜200人程の発症があり、死亡率は10〜30%です。朝元気だった子が、昼から発熱、夕方には痙攣してその後意識が戻らず、亡くなってしまう、というような急激な経過をたどります。リスクファクター(どのような子が脳炎を発症しやすいか、どんな場合に脳炎になるのか)はわかっていません。
脳炎まではいきませんが、うわごとをいう、突然暴れだす、などの異常行動が見られることがあります。
★インフルエンザの診断
この数年でインフルエンザの迅速診断が飛躍的な進歩をとげました。鼻の奥の粘膜をこすり、検査すると、数分でインフルエンザの診断がつきます。しかし、この検査は100%インフルエンザを診断出来るものではありません。特に、発熱した直後(12時間以内)に検査をすると、実際にはインフルエンザでも陰性という結果がでてしまうことが多いのです。医師は、患者さんの症状や診察所見、周囲の流行状況、などを合わせて、インフルエンザを診断します。受診のタイミングなどによっては検査せずに診断する場合もあります。
★インフルエンザの予防
現在、ワクチン以外に有効な予防法はありません。
マスク、手洗い、うがい、等は生活習慣としては大切です。マスクの布はウイルスの粒子の侵入を防ぐことはできませんが、人の咳、鼻水の飛沫を防ぐことはできます。
ウイルスは乾燥した環境で増殖しますから、部屋の加湿、換気に注意することは効果があります。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防することができるといわれています。(有効率70〜80%)
小児にどのくらいの効果があるか、はっきりした統計はでていませんが、成人より効果が劣ります。乳児では有効率は30%程度にとどまるようです。しかし、小児の脳炎、脳症は、有効な予防法がないので、少しでもインフルエンザに罹る可能性を減らすために接種を受けるのは意味があることと思います。
卵アレルギーのある人には接種できないのでは、という質問が多いですが、鶏卵成分はごく微量で、ほとんど問題はありません。接種について不安のある方は、どんどん相談にいらして下さい。
接種後抗体が上がり始めるまでに10日、最大値に上がるまでには2回目接種後1ヶ月はかかるということですので、流行前の11月、12月中に接種を終わらせることが大切です。
★インフルエンザの治療
インフルエンザの治療薬には、抗ウイルス薬として、タミフル、リレンザ、シンメトレルという3種類の薬があります。
これらの薬は、インフルエンザ発症後48時間以内に服用(吸入)すると、発熱期間をおよそ24時間短縮する効果があるといわれています。
タミフル;昨年、異常行動などの副作用が問題となったことは皆さんの記憶に新しいと思います。タミフルの服用と異常行動の間に因果関係があるのか、まだ結論はでていません。現在専門家チームが検討中です。しかし、10代のお子さんに重度の異常行動が複数報告されたということで、10代のお子さんへの投与は原則禁止になりました。
リレンザ;吸入する薬です。5才以上の、上手に吸入できる患者さんが対象です。国内での使用数があまり多くないため、副作用についての情報はあまり多くありません。
シンメトレル;A型のインフルエンザにのみ有効な薬です。この薬も興奮などの神経症状の副作用があり、使い方が難しい薬です。
抗ウイルス薬以外にも、麻黄湯、葛根湯などの漢方薬も治療に使われます。麻黄湯にはタミフルに匹敵する解熱効果や抗ウイルス作用があるとする報告もあります。
インフルエンザに罹ったから、必ず抗インフルエンザウイルス薬を飲まなければいけない、ということはありません。抗ウイルス薬をのんだからといって、インフルエンザがすぐに治るわけではありません。発熱期間を1日短縮し、肺炎、呼吸器疾患のリスクは減らすといわれていますが、健康な人なら飲まずに良くなることも多いです。
タミフルは、世界の70%が日本で消費されています。この傾向からも推測できるように、日本では、いままでタミフルが安易に使われすぎていたのではないでしょうか。
副作用を心配しながらタミフルを飲むよりも、安静、水分補給、クーリング、対症療法で経過を見たほうが良い場合もあると思います。
インフルエンザが流行すると、どこの医院も待合室はいっぱいになります。
医院では、少しでも待ち時間が短くなるよう、また、楽に待っていただけるよう、いろいろ工夫をしていますが、なにしろ患者さんの数が夏の2〜3倍になるので、なかなか思うようにはいきません。
インフルエンザの流行期は、熱性けいれんが頻発したり、点滴などが必要な患者さんが多かったりするので、診察も予定通りには進まないのです。
ご迷惑をおかけします。お子さんの状態が<待てない状況>である場合には、遠慮せず、必ず御連絡下さいね。
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