[熱性けいれん] 病気と予防 | まなこどもクリニック

病気と予防

熱性けいれん

2017.02 記(2011.11 の記事を改変)

夜にこどもが急に高い熱を出して、けいれんを起こし、慌てた経験があるお父さんお母さんは少なくないと思います。

熱が出たときに起こるけいれんの多くは熱性けいれんです。
こどもの脳は未熟で、熱が刺激となってけいれんを起こしてしまうのです。
しかし、中には、髄膜炎や脳炎など、こわい病気によって起こることもあり、小児科医もその鑑別に非常に神経を使います。

<熱性けいれんの症状>
熱性けいれんを起こすお子さんは意外に多いのです。
1才から5才のお子さんの7~8%は経験するといわれています。
多くは熱の上がりはじめに、数分間のけいれんを起こします。けいれんを起こしたあとに発熱に気が付く場合もあります。
けいれんは 体が硬直したり手足ががくがくする全身型のものから、目が一点を見つめて反応しない、というような分かりにくいものまでいろいろです。意識は消失します。
呼吸運動がうまくいかず、顔色や唇の色が紫色になることがあります。嘔吐や失禁をすることもあります。
けいれんは数分でおさまります。おさまったときには、わっと泣く子もいれば、そのまま眠り込んでしまう子もいます。意識は少しすれば回復し、熱は高いけれど、それほど様子はおかしくない、という状態に戻ります。

<けいれん時の注意>
○ 気道を確保する(呼吸がしやすいような体勢をとらせること)
○ おちついてけいれんの様子をみる。
  ・けいれんの動きに左右差がないか。
  ・何分間続いたか。
  などの情報は、その後の治療の参考になりますので注意していてください。

けいれん自体で命があやうくなることは、まずありません。
しかし、けいれんしたときに嘔吐したものが気管に入ってしまうのは心配です。窒息したり、誤嚥性の 肺炎を起こすことがあります。
けいれんをしたときには、横向きに寝かせたり立て抱きにしたりして吐いたものを詰まらせないように注意しましょう。
舌を噛むといけないから、と、口の中にものを突っ込むことが昔は勧められていたようですが、けいれんで舌を噛んで大事になることはあまりありません。むしろ、突っ込んだものが呼吸を妨げてしまうのでやめたほうがよいと思います。
ゆすったりして刺激を与えるのもあまりお勧めしません。けいれんの刺激になってしまうおそれがあるからです。

5分以内にけいれんがおさまって意識が回復し、いつも通りの様子に戻ったときは、それほど心配はありません。
ねむりこんでしまった場合には、呼吸の状態などに注意しながら少し寝かせて、数分してからそっと起こして意識があるかどうか確認してください。

<心配なタイプの熱性けいれん>
熱性けいれんでも、至急救急を受診する必要がある場合があります。
 ・けいれんが5分以上続いておさまる様子がないとき。
 ・けいれんがおさまっても意識が回復しないとき。
 ・いったんおさまってもまたはじまってしまうとき。
 ・けいれんが全身ではなく体の一部だったり左右差がある場合。
 ・けいれん後に手足が動かないなどの麻痺などが残る場合。
 ・1才未満の乳児のはじめての熱性けいれん。
このようなときは、けいれんの原因が重大な病気である場合があります。すぐに医療機関を受診しましょう。夜だったら夜間救急などを利用します。

<熱性けいれんの治療>
こどもが熱性けいれんを起こすのを2度と見たくない、と思われる親御さんがほとんどでしょう。熱性けいれんの予防に、ジアゼパン(商品名ダイアップ)というけいれん止めの座薬が使われることがあります。熱の上がりはじめの 37.5~38℃位の時に座薬を入れ、8時間後にもう1回入れる、という方法です。

熱性けいれんを起こしたすべてのお子さんが、この座薬で予防したほうがよいということではありません。
2015年に熱性けいれんの治療のガイドラインというものが出されました。それによれば、ダイアップ座薬を使えば、熱性けいれんの発生の頻度は明らかに減るが、ふらつき、不活発、言語障害、抑うつなどの副作用もあり、使い過ぎは避けるべきであるという指針がでました。

ダイアップ座薬をけいれんが起きないように予防で使う基準は
①15分以上続く発作がおきた場合
②2回以上発作をおこしている場合で、以下の条件を2つ以上満たす場合
 ・24時間以内に反復する発作 ・焦点性発作
 ・発作以前から存在する発達の遅れなどの神経学的異常があった
 ・熱性けいれん、てんかんの家族歴
 ・12カ月未満・38℃未満での発作 
となっています。

熱性けいれんで命を落とすことはないこと、熱性けいれんをくりかえしても、その後、脳の障がいなどを残すことはほぼないこと、などのことをよく理解して、あまり怖がらず、焦らずに経過をみることが大切なのですね。年齢が大きくなれば、熱性けいれんの頻度は確実に下がります。

けいれんしているお子さんを見ると、本音を言えば、医者でもドキドキします。
いろいろと処置をしながら、このけいれんが止まらなかったら、次はこうして、ああして、と先へ先へ考えていきます。ですから、1~2分後に自然にけいれんが止まってくれるとほっとします。
親御さんに慌てずに、というのも無理なことでしょう。
しかし、慌ててもよいことはありません。
しっかり気道確保をして、けいれんがおさまるのを待ちましょう。

  •