病気と予防

水痘

2014.10 記(2012.2 の記事を改変)

水痘は水痘―帯状疱疹ウイルス(Varicella-ZosterVirus)の感染によっておこります。
潜伏期は14~21日で、虫刺されの様な発疹が体や顔、頭皮にでき始め、数日で体中に広がり、水疱となります。
水疱は3日ほどで黒いかさぶたとなりますが、新しい水疱もどんどんできてきます。全部の水疱がかさぶたになるのに、大体1週間くらいかかります。熱は、でないこともありますが、2~3日でることもあります。

 

発疹出現1~4日前から、発疹出現後5~6日後まで、人に感染する可能性があります。感染力は非常に強く、空気感染します。麻疹についで感染力の強い病気です。
全部の水疱がかさぶたになるまで外出は避け、学校、幼稚園保育園は休ませるようにします。

 

軽い病気と考えられがちですが、合併症などにより死亡することもある病気です。
ワクチンを接種しない場合、水痘にかかると100万人に20人が死亡するとされています。近年でも年間10人ほどではありますが、麻疹による死亡者の数よりも水痘による死亡者の数が上回っています。
1~14歳の子どもでの死亡率は10万あたり約1例、15~19歳では2.7例、30~49歳では25.2例と年齢が上がるにしたがって高くなります。
また、抗がん剤やステロイド剤等の薬を飲んでいる方、また、お母さんが水痘にかかったことがない新生児などは重症化が心配されますので、入院で治療することが多いです。

いろいろな合併症に苦しむお子さんもいます。
ウイルスが脳へ行くと、脳炎や小脳失調を起こすことがあります。また、血管炎による脳梗塞をおこすこともあります(子どもでも脳梗塞をおこすのです)。アスピリンなどを水痘の子に使用すると、ライ症候群というこわい疾患を誘発することがある、といわれており、解熱剤を使用するときにはその種類に注意することが大切です。肺炎を合併することもあります。
いちばん多いのは皮膚の細菌感染です。水疱はかゆいですから、掻くことで皮膚のブドウ球菌などが傷口に侵入し、ひどく膿んでしまったり、とびひなどを起こすことがあります。敗血症を起こす場合もあります。中でも、劇症型溶連菌感染症という非常に急激にすすむ感染症があり、手足の切断などが必要になる場合があります。

治療
水痘ウイルスを退治する抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)という薬があります。発症初期に使い始めると、使わない場合より、水痘疹が少なくてすみ、また、1~2日早くかさぶたになります。
水痘は通常はそれほど重症にならない疾患なので、健康なお子さんには特に抗ウイルス薬は飲ませる必要がない、という考え方の医師もいます。
私個人としては、抗ウイルス薬を飲んでいる子と飲んで いない子では、発疹のかゆみのつらさ(期間と程度)がかなり違うようなので、服用をお勧めすることが多いです。

水痘の時には、昔から白い軟膏をつけましたよね。あの薬は、フェノール亜鉛華リニメント(カチリ)といって、患部の乾燥を促進し、感染を抑える、といわれているものです。今は、よいかゆみ止めや抗生物質の軟膏などが出てきているので、使わない医師もいると思います。
とにかくかゆく、かいてしまうと感染を引き起こし、その部分が痕になったりするので、かゆみ止めを飲んでもらうことがあります。
また、解熱剤などを処方することもあります。
目の周囲に水疱ができたときには、病変が角膜に及ばないように抗ウイルス剤の眼軟膏を目につけることがあります。

 

帯状疱疹
水痘のウイルスで他の形の病気がおこることがあります。帯状疱疹という病気です。
水痘に罹ると、治ったあとも水痘ウイルスが脊髄神経節に潜んでいて、抵抗力が落ちたりしたときにウイルスが暴れだし、神経の走行に沿って帯状に水疱 ができます。痛みを伴うことが多いです。
胸、おしりや手足、顔、どこにでもできます。顔面神経の神経節にウイルスが残ると、顔面神経麻痺をおこすことがあります。めまい、難聴をともない、Ramsay-Hunt症候群と呼ばれます。目にできると角膜に病変が及び、失明などを引き起こす可能性があります。
帯状疱疹の人の水疱から水痘に免疫がない人にウイルスが感染して、水痘が発症することがあります。

予防
水痘にはワクチンがあります。水痘にかかると重症な合併症を起こすこともありますから、ぜひ接種をうけて欲しいです。
1才以上のお子さんが接種をうけられます。1回受けただけではかかってしまうことがあり、2回接種がお勧めです。
日本でも、平成26年10月から水痘ワクチンが定期接種になりました。対象は1才から3才未満のお子さんです。接種回数は2回です。1回目の接種は1才になったらすぐ、2回目は1回目接種後3~6ヶ月後です。1回目は麻疹風疹ワクチンと同時接種で受けましょう。
なお、ワクチンを受けていない人が水痘患者と接触した場合、72時間以内にワクチンを緊急接種すると発症が予防できるか軽症化できます。また、近年高齢者の帯状疱疹予防に、水痘ワクチン接種が有効であるといわれています。

まだ1回も水痘ワクチンを接種していない3才~5才未満のお子さんは、平成26年10月~平成27年3月までの経過措置として、1回だけ無料で接種を受けることができます。2回目は有料になりますが、ぜひこの機会に水痘ワクチン2回接種を受けてください。

水痘ワクチン2回接種がはじまって、今後生まれる子たちは水痘にはかからずに一生を過ごせることが期待できるようになりました。アメリカでは、水痘の2回接種が始まって以来流行はほとんど見られなくなり、患者数は年間数百人にとどまっているそうです。
水痘は、かかってしまうと重症になる可能性があります。今はとても多くの人がかかっているので、かかるのが当たり前の病気に思えてしまいますが、年間10人以上の人が亡くなることがある病気には、やはりかからせたくないですよね。帯状疱疹など、一生ついて回るリスクも負ってしまいます。
本人が軽い症状でも、周りに感染させてしまうことがあります。1歳未満の乳児はワクチンが接種できませんので、流行を防ぐ以外に守る方法はありません。
すべての子どもたちが2回接種をうけて(費用がかからないのは3歳未満児のみですが)、水痘が流行しない社会を作っていきたいと思います。

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